今回から(あまり)ガイドブックに載っていない京都をご紹介する「Kyoto Maniacs」を不定期でスタートさせます。
初回は「五條楽園」です。
五條楽園(五条楽園)は五条大橋の西側にあった旧遊郭です。元々は五条橋下(五条新地)、六条新地、七条新地と隣接する複数の遊郭が、大正時代に合併し七条新地という名になり、戦後に五條楽園となりました。
この五條楽園は性風俗を扱う遊郭として営業していましたが、2010年8月に警察の取り締まりで全てのお茶屋が営業を終えました。
私がこの五條楽園を知ったのは5年ほど前で、きっかけはあまり人に言えるものではないので割愛しますが、当時ネットで調べてもなかなか情報が入手できない謎のエリアでした。
実際に現地に行ったのは2010年の春でした。性風俗の話しは置いといて、その独特な建物に惹かれてカメラに収めました。
残念ながら、2010年の取り締まりによって建物が取り壊されてしまったものもあり、その前に写真を撮ることができたのは貴重な経験でした。今回はそんな五條楽園の在りし日の写真を数枚ご紹介します。
まずは和風のお茶屋から。
とても繊細な装飾で、職人の腕の高さを知ることができます。
次はタイルなどが特徴のカフェー建築
このセンス、大好きです。
そして、残念ながら取り壊されてしまった建物のステンドグラス。これだけでも残して欲しかった…。
こんなモダンなステンドグラスはなかなか出会うことがないだけに、とても残念です。
遊郭という場所を訪れたのはこの時が初めてですが、お客の気を引くために派手な装飾の建物が多く、とても新鮮でした。
すでに看板も撤去され、次第に忘れ去られてしまうのかと思うと残念な気持ちになりますが、少しでもこれらの建物が残ってくれることを祈ります。
最後に、この五條楽園の近くにあるカフェ「efish」をご紹介します。このカフェは先日までApple社でデザイナーとして活躍された西堀晋さんが経営するカフェです。私は京都に来たら寄っていますが、窓から見える鴨川の景色はとても素晴らしく、いつまでも居たいと思う素敵な空間です。
このお店の名前「efish」も五條楽園に関連しており、「e」はアルファベットの5番目で五条通りの5を表し、「fish」は、五條楽園のお茶屋の店先に並ぶ水槽に入った金魚を表すそうです。(お茶屋が営業中の時は軒先に提灯を下げ、お店の中の金魚鉢の水槽の照明を点けたそうです)
なんとも素敵なネーミングで、西堀さんのセンスを窺い知ることができます。
このように、ガイドブックであまり紹介されない素敵な京都がまだまだ沢山あります。
それでは、次回をお楽しみに。